現場に入ってみれば、相手は若い女性ばかりが七人。
しかも、一人はおれの腹違いの妹という噂(仲の悪い親戚が
ネタ元であるという)もある従妹。教材からしていかにもマズい、
せめて日を改めて別のネタで、と抗議してみたが、
「女だから」云々は心外である、フェミニズムの観点から言っても
そういう態度はどうか、そもそもこの施設を利用するにあたっては
費用もかかっているわけで、変更にかかわる損害をどう補償して
くれるのか、とかいった反論にあって、やむなく講義開始。
ところが生徒の一人から、講師としての力量を問われることになる。
我々は教官の個人的なプロフィールを知らされていない、
しかも研修の中身たるや、自分たちの専門からすれば畑違いの分野であり、
講義の内容の正否を判断することもできない。我々に講師たりうる力量を
示してはいただけまいか、と。
そこで従妹が発言する。私の知るところによれば、教官殿は
私のよく知る某・関係者によれば、教官殿をよく知る人によって、
“大抵のことは知っている”と云われているヒトである。
納得がいかないのなら質問してはどうか、と。