「正直なところを言わせてもらいましょうか。
妾腹の子供で女とかいったら、うちの一族では
政略結婚の道具でしかないんですよ。
私を提供する対価としてあなたを取り込めるんなら、
正直、うちの一族としては安い買い物なんです。
しかも、その結果、私は“中古品”ということで大幅に
商品価値が大幅に下落するので、女としての役割から開放されます。
同時に、研究者として他の研究者には得がたいデータを
手に入れることができるというわけです。
もともと、一族の意向に沿っているかぎり、生活の心配は
する必要がありませんし……そうですね、あとは、
あくまで友人としてというか、でなければ同じ研究者として
ときどき逢っていただけると嬉しく思います。」
「結婚とかは、お考えになりませんか?」
「私、アセクシャル……というか、性欲が欠如しているんです。
そういう人間が結婚するのは、旦那様に申し訳ありませんし。
本当は、育児はしてみたいので、子供は持ちたいと
思っているんですが、私、無月経症なんですよ。
ホルモン剤で治療はできると言われているんですが、
未婚でそういう治療もどうかと思いますので……」
そう言って、ふっと顔を逸らす。
「できれば、この機会に授けていただければと
思っているんですが……“ついで”でお願いするのも
失礼かと思いまして。」