とりあえず決断は先送りにする主人公。
ただし性関連の資料の提供は、整理や電子化の都合もあって
承諾する。本筋である解析エンジンは、工学系の論文データベースから
シソーラスを作り、それを元にそれぞれの論文間の意味上の距離を
割り出して、シソーラスの有効性の検証を行ないつつ
因子分析によって論文の意味空間の次元を求めるだの
グループに分類するだのグループ間のマハラノビス距離を求めるだの、
ごちゃごちゃした作業に突入する。主人公はシステム立上げが
一息ついた処理待ちの間に、資料の整理を行なおうと資料庫へ行くと、
机に突っ伏して苦しんでいる白衣の女がいる。
「ちょっ…ちょっと! お願い! 背中押してぇっ!」
僧帽筋がゴリゴリに凝っている。痙攣を起こしたらしい。
「あ、そう、そこ……あっ、そ、そこ!」
冷静になって改めて見てみると、巨乳・熟女で眼鏡という、
なんかツボがよく判らん属性の美女。
「ああ、楽んなった。助かったわ。」
聞けばこの施設を利用する予定のクリニックのカウンセラーだという。
資料に興味があったので見させてもらった、と。
さっきのは普通のマッサージとは違うみたいだけど、とかいった話題から、
なんとなく身の上話のようになり、話は主人公の隠された才能に及んでゆく。
彼女は主人公の心理上の問題点を指摘する。
そこに“白”が現れ、なしくずし的に二人はカウンセリングを
受けることになるが、“青”“赤”の二人が
それを黙って見ている訳もなく……