布団のぬくもりと日の温かさが、起きかけの頭を再度眠りに誘惑する。
「にぃさん……」
その心地よいまどろみへと甘いささやきが届けられ、まさに籠絡寸前。
「にぃさん、もうお昼だよぅ……」
その間の抜けた呼び声は横たわる身体に脱力感を与え、深き眠りへといざなう。
「もぅ……。早く起きてくれないとご飯なくなっちゃうよ〜」
ご飯というワードでは、覚醒の誘引にはならなかった。

――そして、俺はこんな日々を繰り返し、停滞したのだった。