ちょっと進みました

自分の死体を見つけて呆然としていたところ
どこからか名前を呼ぶ声が聞こえる、階段を駆け上がり耳を澄ます。
友人がスマホを片手に廃墟にいる、探しに来てくれたのだ
だが、自分は霊なのでどんなに語りかけても友人には聞こえない
友人は迷いながら、打ち捨てられた古物商の倉庫にたどり着き
ある古い棺桶の前に立ち止まる
その棺桶を開けてはいけない と伝えたいが方法がない
友人は棺桶を開けてしまう、中身は何もない、ただ冷気だけが漂ってくる
友人の体から押し出されるように霊魂が抜けだす
霊魂になった友人が自分を見る、はじめて目線が合う、笑顔になるが、あっというまに消える。
残された友人の体は操り人形のように立ち上がり、ドアを開け階段を降りると自分の死体の横に腰掛ける
手に持ったスマホにDMが送られてきて液晶画面に通信履歴が表示される
「廃墟であいつのカバン見つけたよ」「本当か?」
魂のない友人の体は一瞬画面を見るような動作をするが目を閉じて地面に横たわる。