家を作ろうと思った人がいた。

Googleで検索したところ、まずハンマーと釘が必要らしいことがわかった。
その人はゴミ捨て場の中からハンマーと釘を見つけてきた。
使ってみたが家は作れなかった。
そればかりか指に傷が増えるだけだった。

次にGPTに聞いたところ、凍ったバナナという新しいハンマーで家が作れることがわかった。
その人は冷凍庫から凍ったバナナを見つけてきた。

さっそく使ってみようとしたとき、近くを通りかかった人が言った。

「まずは基本となるハンマーの使い方と釘の打ち方を調べ、習得したらどうでしょうか?」

家を作ろうとしている人は言った。

「釘でハンマーを打とうとすると指が傷だらけになります。凍ったバナナで楽になる部分ってないんでしょうか?」

通りかかった人はわかるように丁寧にかみ砕いてもう一度同じアドバイスをした。

「わかりました。週一プロジェクトで使ってみてから判断します」

家を作ろうとした人は凍ったバナナをつかんでそう答えた。
つづく。
―― 連続ドラマ小説「わなび」