#15
「へぇ、だってよ。お前やれるのか?」
ストローを噛みながら何やら考え事をしているエリアルドへカールが聞く。

「やるしかない事くらいは分かってるよ。」
ぼそりと問いに対して一言返すエリアルド。
今度はカールがエリアルドに呆れた様子で髪をガシガシと掻きながら
「ったく…ホント甘いよお前は。」
と、少し呆れ笑いのような口振りで言う。

「茶化すなよ、俺だって自覚してるって。」
エリアルドは少しムスっとしたように返すと
「自虐的だな、だがお前がそう考え込むのも分かるよ。
子供が戦争に参加するなんてのはフツーじゃねえ。」
と言いながらカールは先程とは違って顔付きが少し変わっていた。

「キラと言ったか…あの少年の言った事が本当だとすれば…
ザフトの軍人の中にもあの少年のように子供が戦争してるって事だろう?」
オードリーが来てからも一言も喋らなかったのは
喉に刺さった魚の骨のようにキラの言葉が引っ掛かっていた。
‘’親友と戦わずに済んだのに‘’
エリアルドにとってはこの言葉が重くのし掛かっていたようだ。

「恐らくはそうだろうな。
復讐の為に爆弾や銃を持つ…旧世紀のイスラム紛争地帯じゃよくあった話だ。」
いつの間にか口元で噛んでいたストローを離していたカールが冷静に返す。

「…連邦軍の…俺達の…ティターンズのやって来た事は本当に正しいと思うか?」
「ちょ…ちょっと何言い出すの?」
少しの沈黙の間に発したエリアルドの言葉に動揺したオードリーがそう言って周り見渡す。
が、幸いにも食堂にはもう誰もいない事に胸を撫で下ろすが、
「それはいくらなんでも言ったらヤバいわよ。」と説き伏せる。