「私(リデルハート)が多くの(ドイツの)将軍達に尋ねたことは、
『スターリングラード以後でも、もしうまくやれば敗北が避けられたと思うのか』
ということであった。
ルントシュテットはそれに答えて、『避けられたと思う。もし前線の司令官達が
いつでも適当と思う時に後退することができたならば、ということである。』《略》
同じ質問を最後まで東部戦線に残っていた将軍達にした時には、
彼らの返事はもっとハッキリしていた。
ドイツ軍が弾力的な防御戦をやりさえすれば、ロシアの攻撃力は消耗してしまったろうというのである。――もしそうすることが許されるならば、――と。《略》
「私(ハインリッキ)がこのやり方で自分の計画を立てることが出来た時には、
この三年間の防御戦闘で一度も負けたことはない。
しばしば私の軍隊は十二対一、あるいは十八対一の劣勢で防御してきたことがある。
純粋な防御だけで、果してロシア軍を消滅させることが出来たかどうかは疑問であるが、
ただもっと機動性のあるやり方によるとか、または我が戦線を縮小して兵力を浮かし、
それを有効な反撃に使うというやり方によって、バランスを逆転させることも
できたであろう。」(リデルハート著「ヒットラーと国防軍」)