70人救出の戦闘員を表彰、銃弾の中を防弾車走らす イラク

イラク・イルビル(CNN) 過激派組織イラク・シリア・イスラム国(ISIS)の激しい攻撃を受けたイラク北部の都市キルクークで、自家用車に負傷者を乗せて70人あまりを救い出した男性が知事から表彰された。
クルド人民兵組織の戦闘員、アコ・アブドゥラフマーンさん(32)は自動車オークションで1万ドル(約104万円)を支払って、防弾仕様のBMW車の1990年代モデルを手に入れた。
これでISISによる通りすがりの銃撃や路上爆弾を心配せずにキルクーク近郊の前線まで車で行けるようになり、友人たちにも喜ばれたという。
10月21日にはISISがキルクーク周辺で治安部隊や市民を相次いで襲撃して64人が死亡。ISISの戦闘員86人も死亡した。
この攻撃で負傷した100人以上の市民や兵士の多くは、ISISによる無差別の銃撃や狙撃のために身動きが取れなくなった。
「今こそ人々を助けなければ。私は戦闘員で装甲車を持っている。助けられなければ恥になる」。アブドゥラフマーンさんはそう自分に言い聞かせたという。
「現場に着くと、大勢の人が地面に倒れていた。ISISの狙撃や無差別の銃撃に阻まれて誰も近くに来られなかった」。
そこでアブドゥラフマーンさんは何度も何度も現場に戻っては負傷者を自分の装甲車に乗せ、70人以上を安全な場所に運んだ。犠牲者の遺体も現場から遠ざけた。
「スンニ派もシーア派もクルド人もトルクメン人もキリスト教徒も私の車で運んだ。私は真のイラク人だと感じ、誰もがそうあるべきだと思った」とアブドゥラフマーンさんは胸を張る。
「ISISは車を貫いて私と車内の負傷者を殺そうと銃撃を続けた」といい、車は50発以上の銃弾を浴びて弾痕だらけになった。
アブドゥラフマーンさんはこの功績をたたえられてキルクーク知事から表彰され、50万イラク・ディナール(約4万円)の報奨金を授与された