明野と審査部のキ27対キ43の模擬空戦は昭和16年4月。

明野はキ43採用に当たってキ43がキ27に純格闘戦で負けるなら速度と上昇力で対抗すればよいとしている

これはその1年前の昭和15年5月。
むしろこの明野の意見がキ27に対するキ43のアドバンテージを高速化におくことを方向付けた。

5月13日 明野のコメント
「キ43は今まで通りではキ27に負ける。戦闘法を変えなくてはいけない。
 旋回1,2回でキ27はキ43を指向できる。キ43の悪いところは純格闘が弱いこと。
 操縦はよろしい。キ43は今の方向に進むがよいと思う」

6月7日 明野のコメント
「常に上昇を念頭におきての空戦を実施せば等位戦、高位戦いずれも九七戦に匹敵す。
 欠点は純格闘に弱きことなり。小半径にて戦わんとするは不利なり」
「さらに上昇力が欲しい。水平スピードも欲しい」

頑迷な格闘戦至上主義を唱え続けキ43を否定し続けた明野、という単純な図式ではない。

昭和16年4月の「キ四三研究会」で明野が反発したのは
南方進出を前提としての遠戦としての用法、とりわけ航続力算出法、
およびキ43の速度では高速のスピットファイアに対抗できないという懸念。