http://mainichi.jp/articles/20160908/dde/007/030/029000c
16年大統領選 トランプ氏「米軍拡充」 同盟国負担「丁重に求める」

米大統領選共和党候補のドナルド・トランプ氏(70)は7日、
東部ペンシルベニア州で、国家安全保障政策について演説した。
大統領に就任すれば、削減されている米軍の規模や装備、
予算を再び拡充させて「再建」する考えを表明。
日本やドイツなど同盟国に対し
「米国がもたらしているとてつもなく大きな安全保障」への見返りとして、
さらなる負担を「丁重に求める」と語った。

トランプ氏は、就任すれば直ちに米軍幹部に過激派組織「イスラム国」(IS)の掃討計画を
30日以内に策定するよう指示することを明らかにした。
同時に、予算を巡る与野党対立で始まった国防予算の歳出強制削減措置を撤廃するよう議会に求めるという。

また、日独両国と韓国、サウジアラビアを例に挙げ、
安全保障に対する見返りとして、これらの国々に経費負担の増額を求める考えを改めて表明。
「ものすごく成功した経済大国だが、米国が莫大(ばくだい)な金で援助している。
(経費負担の増額を)彼らは完全に理解すると思う」と語った。

トランプ氏は過去に、増額要求に応じなかった場合には
駐留米軍撤退の可能性を示唆していたが、今回の演説では触れなかった。

そのうえで、新たに生み出した財源で
▽陸軍規模を49万人から54万人
▽海兵隊の大隊を10以上増やし36部隊
▽空軍戦闘機を1113機から少なくとも1200機
▽海軍の水上艦や潜水艦を276隻から350隻に増強すると主張した。

トランプ氏に対しては、共和党の歴代政権を支えた外交・安全保障の元政府高官50人が不支持を表明するなど、
米軍最高司令官としての資質を疑問視する見方が強い。
これに対し、トランプ氏は7日、元将校ら88人から支持を取り付けたと発表するなど、懸念払拭(ふっしょく)に努めている。