金八先生「…また、あるいは、就職の面接を、大変な緊張のもとに経験した者もおります。そしてまたある者は、自衛官を志望してる者もおります」
女子「へえー、かっこいい!」
男子「誰なんですか、それ」
金八先生「自衛官っていうのはどこがかっこいいんですか?(と、その女生徒に)」
女生徒「地震や災害の時にすごく頑張ってるから」
金八先生「なるほどね。…でも自衛隊の本当の仕事ってのは、それじゃないんだね」
弥市「そりゃそうだよ。ぶん殴られた時によ、殴り返さないようで、一体どうすりゃいいんだよ」
金八先生「うん、確かにそうだよな。そのために自衛隊は、ミサイルとか大砲とか戦車とか自衛官を持ってるわけですよね。しかし、言っておきますけどね、本当に戦争が起きたら、戦うのは先生たちじゃない。
君たちの世代なんですよ?…自衛官を志望している弥市ひとりに代表して戦ってもらえばすむっていう問題じゃないんですよ」
雪乃(杉田かおる)「どうして? ねぇ、どうしてなの? 弥市くん」
弥市「それは、俺は国を守るためにさ」
金八先生「そうだよな。国を守る。弥市よ、もう一歩突っ込んで考えてみような。国を守るということはどういうことか。平和を守るということですね。
しかし言っときますけども、平和を守るというのは、一人一人がそれぞれの立場で守っていかなければ、平和というのは守れるもんじゃないんです。
自衛隊だけにお願いしてすむっていう問題じゃないんです。…弥市よ、お前、空手やってるから、喧嘩強いじゃん。
このクラスで一番強いよな。でも、弥市、もし、棒きれ持った男が出てきたらどうする?」

金八先生「こうやって話してても、きりがないな。さあ、自衛隊が現実に軍事力持ってますけども、その軍事力を使わないですむ方法。どういうことだと思います? そうなんですよ。世界中の人とともに生きようと、そう思うんです。
そして丁寧に話し合い、真剣に理解し合うんです。そうでなければ世界というのはもう成り立たないところまで来てるんです。
我々に今、一番必要なのは、話し合うための優しさと辛抱強さですよ」

金八先生「『陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない』」