子供の頃に寺院や神社が近所にある地域で育った人は、そうでない人に比べて幸せを感じている
http://www.sankei.com/west/news/170514/wst1705140013-n1.html

との調査結果を、大竹文雄大阪大教授(行動経済学)らの研究チームがまとめた。

統計学の計算手法を用い、アンケート結果を分析した。
大竹教授は「神仏や他人に見られている感覚を持つことで正直になり、人間関係が良好になるから幸福度が高まるのではないか」と話している。

アンケートはインターネットで25〜59歳の男女を対象に2回実施。9231人から回答を得た。
小学生の頃、通学路や自宅の近所に寺院や地蔵、神社があったかどうかや、現在の幸福度などについて尋ねた。

併せて他者への信頼感などの「ソーシャル・キャピタル」(社会関係資本)に関しても質問。
寺社の有無を「操作変数」として扱い、ソーシャル・キャピタルが幸福度などを高めているかどうかを計算した。

その結果、寺院・地蔵があった人はそうでない人に比べて操作変数が0・110ポイント、神社では0・036ポイント高かった。
これを基に幸福度を年収に換算して調べたところ、寺院・地蔵があった人は約169万円、神社があった人は約55万円高くなることが分かった。

神社による幸福度が低く出るのは、祭りなど神社を拠点にした地域活動の方が、影響力が大きいためだという。
論文は大竹教授のホームページで公開されている。

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■ソーシャル・キャピタル(社会関係資本) 
信頼感や規範意識、ネットワークなどを公共の財産とみなす概念。
蓄積されれば人々の協調した行動が活発になり、社会の効率性が高まるとされる。
米国の政治学者、ロバート・パットナム氏らが提唱した。