https://www.chuden.co.jp/resource/corporate/com_setsubi_2016.pdf
さて悩み深げな中部電力編です。この系統図を見手一見して分かるとおり、
中部電力の場合は「家力発電所の立地が三河湾周辺にしか存在しない」という特徴があります。
まあ三河湾は内湾で、浅くて大型船舶の航行にや制限があることを除けば、立地として悪くはありませんが、
一方で、長野県・岐阜県といった内陸県や東西に長い静岡県(の西側)をサービスエリアに入れなければなりません。
このため、どうしても発電所が極端にかたよるということになります。

「発電所が偏ると何故まずいのか」ということですけれど、
長距離送電になるとロスになるとかそんな簡単に話ではありません。
発電所が偏ると、まず長距離送電によってフェランチ効果による電圧・位相の乱れが起きることが問題です。
まあこれはリアクトルを設置するなり調相機・コンデンサを設置することで強引に調整できなくもありません。
最大の問題は、送電線の事故が起こったときに、発電所側で供給過剰が発生することです。
供給過剰が発生すると、何が起こるか分かりませんから、強引に発電機を解列することになり、
系統全体が停電するリスクが非常に大きくなってしまいます。
長野と静岡・三重がそういう状況ですね。中部電力はこの問題をどう対処するかが課題になります。

東京電力のように周辺地域にベース電力供給用の発電所を設置するのは、地勢的に難しい部分があります。
実際にはやろうとして三重県芦浜と静岡浜岡に原子力発電所を設置すべく動きましたが、前者は頓挫しています。