2017.6.27
世界の自動車メーカーが熱視線、日本発新プラスチック素材の凄さ
http://diamond.jp/articles/-/133225
“プラスチックの皇太子”――。
三菱ケミカルが独自に開発した新素材に、国内外の自動車メーカーから熱い視線が注がれている。
素材を指名した問い合わせが相次いでいるのだ。
実はこの通り名は、同社がキャッチフレーズとして勝手に付けたもので、「デュラビオ」というれっきとした本名がある。
植物由来のバイオプラスチック素材で、エンジニアリング・プラスチックの一種だ。
エンジニアリング・プラスチックとは、耐熱性などの機能を強化した化学製品のことで、一般的には家電製品の内部などに使われている。
なぜ、皇太子なのか。
高等学校の化学の教科書にも載っている“プラスチックの王様”であるポリカーボネート(強度・耐熱性・汎用性などで圧倒的に優れる)の良い部分と、
“プラスチックの女王”のアクリル樹脂(見た目が美しく透明性が高い)の良い部分を引き継ぐ新素材だからだ。
この新素材の特徴は、大きく4つある。
(1)ガラスの代替に使えること、
(2)塗装が必要ないこと、
(3)黄色く変色しないこと、
(4)トウモロコシ由来のバイオマス素材であることである。
指名での問い合わせは、世界的な自動車メーカーだけでなく、中国の地場メーカーからも来る。
きっかけは、昨年12月上旬に東京で開かれた「エコプロ2016」という環境展示会だった。
自動車メーカーのマツダが、新型車種の「ロードスター RF」の外装部材に、
三菱ケミカルと共同開発した新素材(デュラビオ)が使われたことを大々的に喧伝してくれたことにより、急に世界から注目されるようになったのである。
08年から開発を進めてきた三菱ケミカルの新素材は、決して順風満帆ではなかった。
ようやく採用が決まったのは4年後。スマホではなく、自動車だった。 
第1号の案件は、14年のスズキの「ハスラー」で、翌15年には「アルト ラパン」の内装に使われた。
最大の決め手は、顆粒状の素材の段階で色を付ければ、塗装が省けてコストダウンになるということだった。
今後、さらに用途が広がっていけば、“プラスチックの皇太子”の称号が、業界内のスタンダードとして定着するかもしれない。