金田一秀穂・杏林大外国語学部教授「ひどいと思うのが、議論を拒絶する姿勢だ」


「菅義偉官房長官が多用する『承知していない』『そのような批判は当たらない』などは、議論を止めてしまう話法だ」メディアの記者も、この話法に慣れてしまった。

議論を強制終了させる「菅話法」は、普通は組織の上司が部下に対してやる行動で、記者会見で説明責任を負う官房長官が記者に対してこういう行動をとるなら、
記者の側は怒らないといけない。しかし今の大手の記者は、首相や官房長官を「偉い人」と見なして上司のように理解しているのか、全然怒らない。

民主主義国のアメリカの記者は、相手が大統領であっても全然怯まない。基本的に、自分と相手は対等だという前提で質問したり、
相手の態度を咎めたりする。民主主義とは「立場の違いはあれど全員が個人として対等」という前提がなければ成立しないが、日本では「立場の違いが上下関係」になってしまう。