空自三沢F35A墜落、人的エラー原因か
2019年6月8日更新

・僚機に残る記録
このため、FDRに代わる事故分析の切り札として防衛省が期待を寄せるのが、MADL(マドル)と呼ばれるF35A独自のシステム。
情報を機体間でリアルタイムで共有できるデータリンク機能で、訓練を共にしていた僚機に残された「MADLのデータと地上レーダーなど各種の記録から調査を進めている」と岩屋防衛相は強調する。

注目すべきは、事故機のMADLがレーダーから消えた後も機能していて、データを僚機に送信できていたという点。
防衛省幹部は「MADLが生きていたということは、墜落直前まで事故機の電気系統に大きな異常がなく、電源を供給するエンジンも動いていたことを意味する。つまり、機体に異常はなかったということになる」と解説する。

事故発生時、墜落機は編隊長として僚機3機と戦闘訓練を行っていたが、MADLによって互いの位置を把握し合っていた。
このデータを解析することで事故機の高度や速度、進行方向などを「かなりの精度でつかむことができる」(空自関係者)のだという。

また、MADLに残された航跡データと訓練時の交信内容を突き合わせることによって、墜落直前の操縦士や機体の状態もある程度再現することが可能だ。
元空自操縦士は「機体トラブルだったら、操縦士は緊急脱出する時間的余裕があったはず。ところが今回は違った」と話す。

https://www.toonippo.co.jp/articles/-/202611