「ソ連時代以上」プーチン・ロシア、中東で影響力拡大 シリアでミッション達成

 プーチン大統領は11日、中東の3ヶ国を歴訪した。中東との結びつきを強め、影響力を増すロシアについて、
シリア介入での実質的勝利が大きな転換点になったと海外メディアは見ている。
また、調停者であったアメリカが中東から距離を置く姿勢を示していることも、ロシアに権力拡大の機会を与えているようだ。

 2015年9月にロシアはシリア内戦への介入を開始した。ロシアは7日、「イスラム国」(IS)とシリア反乱軍に対して勝利宣言を行ったが、
AP通信によると、介入開始当初は、軍事的関与は無謀との見方が大勢を占めていた。理由は2点ある。

 第1に、シリアのアサド政権は決定的に不利な状況にあった。IS、アルカイダ、その他の反乱軍を前に、政権側の軍隊は総崩れであった。

 第2に、ロシア軍の装備はソ連時代からの旧式品であり、武力が期待できなかった。しかしイスラエルのハアレツ紙は、
実際には近代的な装備が投入され、長期かつ大規模にわたる配備への不安を一掃したとしている。

 結果としてロシアはシリア内戦の事実上の鎮圧に成功した。BBCによると、オバマ大統領はロシアが泥沼に陥ると予測。
ロシア国民の間にも、ソ連時代の大失敗になぞらえ「第2のアフガン」になるとの危機感があった。
実際には、シリアでISを打ち破り、ロシアは目的を達成することとなった。

 危険を冒してまで介入した動機について、「国際的テロリズムとの戦い」がロシア公式の介入目的である(BBC)。
しかし、中東のハアレツ紙(12月11日)は、「(プーチン氏は)シリアを再建しておらず、その意思もない」と断じる。
イラクとアフガニスタンへの援助に巨額を投じたアメリカとの姿勢の違いが鮮明だとする。

 同紙では、ロシアの真の狙いは同盟国の維持にあると見ている。シリアのアサド政権を擁護することで、
同国にある地中海の軍事拠点を維持できるとの狙いだ。この点についてはBBCも、
ロシアがシリア北西部に2つの軍事基地を有していることを伝えている。
さらにAPによると、ソ連時代に補給基地として使用していた基地を大規模な海軍基地に転換する計画があるようだ。
IS掃討という大義の下に行われた介入だが、中東での軍事力を確保するという真の狙いが窺える。