獣医学部の新設を認めてこなかった定員抑制は、安倍首相が言う「岩盤規制」などではなく、
需要が見通せないなかでとられるべき当然の措置だった。

さらに獣医学部を新設せずとも新しいニーズに対応することはできるのに、
なぜか官邸は内閣府とともにゴリ押しし、真っ当な提案を行った京産大を
わざわざ外しにかかったのだ。

納得しろと言うほうが無理のある、この不可解な流れ。そして、ここで前川氏の証言が重く響く。
「総理のご意向」のもとに──この一文こそが、決定の理不尽さのすべての謎を解くからだ。

ようするに、「総理のご意向」「官邸の最高レベルが言っていること」という力が働いたから、
こんなアクロバティックかつ道理に合わない規制緩和が実現されてしまったのだ。

「加計学園問題の本質」は、「岩盤規制に穴を開けること」などではまったくない。
「岩盤規制でもない当たり前の規制を、安倍首相が勝手にドリルでこじ開けた」ことだ。

そして、こんな無茶が自分の「お友だち」のために行われたのだとしたら、それを世間は
「政治の私物化」「利権政治」「ネポティズム(縁故主義)」と呼ぶのであり、
国民はしっかり落とし前をつけさせなければならない。