2015年の包括提携から約2年を経て、トヨタ自動車とマツダが資本提携に踏み込んだ。
トヨタがマツダに5.05%、マツダがトヨタに0.25%、各500億円を出資する。

トヨタはSUBARU、いすず自動車【編注:「ず」の正式表記は踊り字】など数多くの自動車メーカーに出資するが、同額の株式を持ち合うのは異例。
日本の自動車業界の地図は大きく塗り替わろうとしている。

「グーグル、アップル、アマゾンという新しいプレーヤーが現れている。前例なき闘いだ。車をコモディティ(汎用品)にはしたくない」
8月4日に開かれた提携会見で、トヨタの豊田章男社長はこう強調した。
車に寄せる情熱が人一倍強い豊田氏の脳裏によぎる思いは、日本の自動車メーカーの将来に対する危機意識にほかならにない

「EVだね」
最近、社内で試作したEVのスポーツカーに乗った豊田氏は、こうつぶやいたという。
そこには、電気自動車(EV)で後れをとったとされるトヨタの巻き返しへの意思表示があった。

世界的に環境規制が強化されるなかにあって、トヨタは主力の「プリウス」などのハイブリットカー(HV)を前面に押し出した世界戦略を進めてきた。
しかし、英国やフランスが40年までにガソリン車とディーゼル車の販売を禁止するなど、欧州を中心に車の環境規制が格段に強化される。

そのため、その後継車はトヨタが主力に置くHVではなくEV。
このトヨタの遅れを尻目に早くからEVを市場投入してきた日産自動車・ルノーは、すでにEV分野で世界トップシェアを確保している。
危機意識を強めるトヨタ。

「マツダとの資本提携に踏み込んだ最大の要因は、EV市場での巻き返しにある」(自動車アナリスト)といっていい。