深センの本社取材を敢行! ドローン界のアップル DJIのスゴさとは?
ドローンの世界で知らぬ者はいないメーカー、それが中国・深センに本社を構えるメーカーDJIである。

本特集でもいくつもの機体が登場しているので、すでにその存在感はご承知だと思うが、
なぜDJIは多くのライバルメーカーを尻目に、一騎当千な存在へと上り詰めることができたのか?

本誌連載陣で最先端のドローン技術にも詳しいモータージャーナリスト川端由美が、
2016年の夏前にDJI本社を訪問し、その秘密を探った模様をお届けしよう。

頭上にはドローンが飛ぶ。深センでは当たり前の風景

香港から気軽に行ける電脳都市。現代のアキバ。そんな触れ込みを聞いて、中国・深センに足を運んだのが2016年。
実際に訪れてみると、雑居ビルに電子部品をバラで売る店が並び、私がエンジニアだった’90年代のアキバを彷彿とさせる。

ただ、ひとつだけ違うのは、並んでいる製品が最新のセンサー類やLEDという点だけだ。
いや、もうひとつ違うことがある。頭上を見上げると、あちこちにドローンが飛んでいるところだ。
そう、ここ深センは“ドローンの聖地”でもあり、200社ものメーカーがひしめく。

そのなかでも、“ドローン界のアップル”との呼び名も高いのがDJI(=大疆創新科技有限公司、Da-Jiang Innovation Science and Technology)だ。
創業者であるフランク・ワン氏の「空を自由に飛ぶ」という夢の実現を目的に、2006年に創業した。

が、訪問した段階ですでに研究開発に携わる人数が約1500人、従業員は5000人に迫る勢いだった。

DJIが本社を構える深センの西側は、半導体やソフトウェアなどの研究開発施設が林立する地域だ。
中国南部のエリート校である深セン大学からもほど近い。
現代的な建物の中に足を踏み入れると、白で統一されたエントランスに訪問者が溢れていた。

歴代の製品が展示されており、中央にガラス張りの会議室がある。
機密エリアに入る来客がスマホを預けるロッカーまでデザインされていて、超絶カッコいい。
カフェテリアスペースにはヘルシーな飲み物やスナックが用意されていて、まるでカリフォルニアのIT企業のようだ。