クルド独立是非の住民投票、米国が憂慮する理由

 クルド人は住民投票を民主主義の実践と捉えているが、米国とイラク中央政府の当局者は、それが結果的に暴力を伴ったイラク分裂につながることを懸念している。
 9月25日に予定されている住民投票は、クルド人の自治政府であるクルディスタン地域政府(KRG)が取り仕切る。KRGは、アイルランドほどの広さに約520万人が住む自治区の行政を取り仕切っている。
クルド人は1991年以降、イラクの憲法の下で幅広い自治を享受しており、独自の治安部隊(ペシュメルガ)を持つ。
 人権団体やイラクの当局者によると、3年にわたる混乱した戦闘のさなかにペシュメルガは、係争中で帰属がはっきりしない地域をアラブ人たちから奪った。
このため住民投票が実施されると、紛争によってもたらされた人口動態上の変化が固定化され、スンニ派のアラブ人コミュニティーにとって長期にわたる不満の種になる恐れがあるという。
4つの県にまたがる係争地域をめぐってクルド人とアラブ人が衝突することにもなりかねない。
 マフムードさんの故郷ズマルは、多くのこうした係争地域にとって典型的な経緯をたどってきた。ズマルは一時的にISの支配下にあったが、米国の支援を受けたペシュメルガが14年8月にISを追放。
だが人権団体や住民らによると、その後、ペシュメルガはアラブ人住民を追い出したという。
 米当局者はKRGのマスード・バルザニ大統領に対し、住民投票を中止するよう呼び掛けている。
またトルコは、住民投票が実施されれば、トルコから分離したいというトルコ国内のクルド人住民の願いを刺激しかねないと憂慮している。


http://jp.wsj.com/articles/SB10506527749567933770604583363370319432796

いやーパンドラの箱が開いてしまいましたな