【台北=田中靖人】台湾の国防部(国防省に相当)は2日までに、
中国の軍事力に関する年次報告を立法院(国会)に送付、
海軍陸戦隊(海兵隊)を南海艦隊の傘下から海軍直轄に格上げしたと指摘した。

習近平国家主席が主導する軍改革の一環で、陸軍の関連部隊との連携も強化しており、
台湾や尖閣諸島(沖縄県石垣市)など島嶼(とうしょ)への侵攻能力を高めていることがうかがえる。
また、2020年までに「台湾への全面作戦能力を完備する」計画を着実に進めていることも改めて浮き彫りになった。

■横断的な運用可能に

報告書は8月末に非公開で立法院に送付され、産経新聞が2日までに入手した。
海兵隊は従来、担当海域別に3つある艦隊のうち、主に南シナ海を担当する南海艦隊の下に2個旅団の存在が確認されていた。

報告書は、海兵隊が「全体的な運用拡大に資する」ため、各艦隊と同列に昇格したと指摘。
管轄にとらわれず横断的に運用できるようになったとみられる。

この結果、海兵隊は東シナ海の尖閣諸島などにも投入される可能性が裏付けられた。
新型の装備が次々と配備されている上、「陸軍の再編部隊との連携」も指摘された。
具体的にどの部隊かの記述はないが、水陸両用師団とみられる。
中国の水陸両用部隊の装備や訓練の強化は、米国防総省の6月の年次報告書でも指摘されていたが、組織体系の変更が明らかになったのは初めて。