日本の航空機サプライヤーが大注目する島根の材料試験所
7/14(日) 18:41配信 ニュースイッチ
クリープ試験機が立ち並ぶキグチテクニクスの施設
キグチテクニクスが米P&Wから認定、納期短縮に貢献
 金属・複合材料試験などを手がけるキグチテクニク
ス(島根県安来市、木口重樹社長)は、ジェットエン
ジン大手の米プラット・アンド・ホイットニー(P&
W)から材料試験所の認定を取得した。企業の付属施
設ではない独立系試験所では日本初の取得となる。P
&W向けの材料試験はこれまで海外に依頼する必要が
あったが、国内でも可能になる。日本の航空機サプラ
イヤーの納期短縮や、航空機産業全体の活性化にも貢献する見通しだ。
 認定を取得したのは常温と高温の引っ張り試験、高
温で一定の負荷をかけて破断するまでの挙動を見るク
リープラプチャー試験など六つの試験項目。
 このうち、金属組織評価は、顕微鏡写真などを人が
見て評価・判断するため、P&Wと定期的にすり合わ
せる。また、半年に1度の監査があり、記録を改変で
きないような手順が定められるなど、認定の維持には
厳しい管理が求められる。
 P&Wのエンジンでは、欧エアバスの「A320ネ
オ」に搭載される「PW1100G―JM」の増産が見込
まれている。開発にはIHIや川崎重工業など日本勢が
参画しており、多くの工程を手がけている。品質確保
に向けて、材料試験へのニーズも高まっているとい
う。
 キグチテクニクスはこうした材料試験所の認定を、
すでに米ゼネラル・エレクトリック(GE)、英ロー
ルス・ロイス、独MTUエアロ・エンジンズから取得
済み。仏サフランからも試験片の加工で認定を持って
いる。旧共産国を除き、世界の有力なジェットエンジ
ンメーカーの認定を軒並み取得したことになる。