保守派の大重鎮・西尾幹二氏「鬼気迫る安倍批判」の真意

保身、臆病風、及び腰、裏切り……激しい言葉が並んだ痛烈な安倍批判を書いたのは、
保守論客として知られる西尾幹二氏で、掲載されたのは産経新聞(8月18日付)である。

安倍首相を応援してきた保守派から批判が上がるなど、これまでなら考えられなかった。
まして「新しい歴史教科書をつくる会」初代会長を務めた保守派の大重鎮である西尾氏は、
かつて安倍首相に大きな期待を寄せ、5年前の第二次政権発足後には月刊誌『WiLL』に「安倍内閣の世界史的使命」という大型論文でエールを送った人物である。

その西尾氏が、「民族の生存懸けた政治議論を」と題した痛烈な安倍批判を、保守系メディアの本流である産経新聞に掲載した。
さらに西尾氏はこの9月、『保守の真贋──保守の立場から安倍信仰を否定する』(徳間書店)という著書を上梓する予定だ。
そこではさらに過激な安倍政権批判が展開されている。

西尾氏に真意を訊ねた。帰ってきた言葉は、文章以上に辛辣だった。
「私は安倍氏については、第一次安倍内閣の頃から、おしゃべりはうまいが、口が軽い、人間が軽いと思っていました。
ただ、第二次政権発足時はメディアの“安倍叩き”が凄まじかったので、彼を守ろうとする意識で抑制していたし、期待もしていたんです。
ところが、彼はそうした保守派の過度な応援に甘え、憲法にしても拉致にしても皇室の皇統問題にしても、
保守であればしっかり取り組むべき課題を何もやろうとしなかった。
5月3日の憲法改正案の発表には決定的に失望しました。
戦力の保持を認めない9条2項をそのままにして3項で自衛隊を再定義する。
これは明らかに矛盾しています。
しかもその改憲すら、やれない状況になりつつある。
困難というべき逼迫した軍事情勢にあり、国会でも3分の2という議席を有する今の状況で改憲をあきらめたりすれば、
改憲のチャンスは半永久的に失われてしまいます。
こんな事態を招いた安倍首相は万死に値する」

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