コメ減反廃止に不安な農家、秋田で農業も争点に

50年近く続いた国によるコメの生産調整(減反)が今年産を最後に廃止され、
産地間競争の激化や供給過剰による値崩れが懸念されている。
有数の産地である秋田県内が転機を迎えるさなかの衆院選でも農業が争点の一つになっている。
「減反廃止で競争原理を持ち込むというが、全国の農家が好き勝手にコメを作ったら、米価が暴落してしまうのではないか」。
秋田県五城目町で約7ヘクタールの主食用米を生産する農家の男性(66)は不安を隠さない。
国が都道府県に生産目標を割り当てる減反の廃止で、国は来年以降、全国的な需給見通しを示すだけになる。
生産者は自らの経営判断で、需要を見極めて生産量を決めるため、作りたいという農家が増えれば、値崩れも懸念される。
減反廃止に伴い、減反に応じた農家に支払われる10アール当たり7500円の直接支払交付金が廃止される。
秋田県立大の長浜健一郎教授(農業経済学)は、「米を作るのが原則自由になると、たくさん作りたいというところも出てきて
米価が下がる可能性がある。交付金がなくなり、米価も下がれば、特に高齢の農家は影響が大きい。
耕作をやめる農家が増えれば、米の生産力自体が落ちる恐れもある」と懸念する。
多くの県では、来年以降も生産の目安を独自に示す予定だ。秋田県内では、秋田県が11月末以降に県全体の目安を示し、
地域ごとに独自に判断することになる。
減反廃止を前向きにとらえて、国に頼らない経営に向けて積極的に動き出すところも出てきた。
JA秋田ふるさと(横手市)は、外食産業を中心に業務用米の需要が見込めるため、2020年までに
年間約1万8000トンの出荷量増(今年産比約4割増)を目標に掲げる。
小田嶋契組合長は「秋田のコメが世界と戦い抜く力を磨く大きなチャンス」と力強く話す。
県は9月末、業務用米のシェアを上げることを目指す「秋田米生産・販売戦略」を策定し、主食用米の生産量41万トンの維持を図る。
http://yomiuri.co.jp/election/shugiin/2017/news2/20171015-OYT1T50053.html

米の生産量は増えるのか減るのか