「完全なオーバーワークだ」

航空自衛隊に、何が起きているのか。
10月17日夜には、静岡県の浜松基地所属の救難ヘリが海上に墜落。
翌18日には、茨城県の百里基地でF4戦闘機の主脚が折れて炎上した。

こうした状況下で、本稿執筆中の10月20日午後、22日の日曜日に予定されていた、
航空観閲式の予行演習が中止されるという情報が筆者の耳に飛び込んできた
(その後、HPでも発表。http://www.mod.go.jp/asdf/pr_report/airreview2017/)。
(略)
連日の重大事故の背景には、何があるのか。隊長経験もある幹部パイロットが、重い口を開いてくれた。

「怖れていたことが現実になってしまった。原因を一言でいえば、完全なオーバーワークだ」

そもそも航空自衛隊には、「専守防衛のための最低限の装備と人員しかない」のだと、この幹部は話す。
(略)
今年4月から9月までのスクランブル(緊急発進)の回数は、前年度より減少したとはいえ561回。
1日3回(出動1回につき発進する戦闘機は2機だ)以上が、「国籍不明機」に対処している。

一時期、多かった中国機が減ったかと思えば、今度はロシア機が増えている。
しかもこれまでのように周辺国の戦闘機がやってくるだけではなく、特異なケースも増加した。
前出の幹部パイロットは、「爆撃機や情報収集機だけでなく、厄介なドローンも加わっている」と話す。

さらに加えて、北朝鮮が核実験や弾道ミサイル発射を繰り返すようになった。
幹部パイロットは、この状態は「もはや平時ではなく有事に当たる」と指摘する。
(略)
敵の動きを察知すためのレーダーサイトや「北朝鮮の弾道ミサイル対処のためPAC3も臨戦態勢にある」と前出の幹部は明かした。
全航空自衛官が、これまで経験した事のない状態にあると言っても過言ではない。

http://gendai.ismedia.jp/articles/-/53269