>>628
地震の原因については、古来より様々な解釈があったんだよね
日本では地下のナマズが暴れるからとされ、また古代ギリシャでは巨人エンケラドスが暴れるからとされ、一応の理由付けがなされている
古代の人々は、目の前に実存する物体あるいは生起する事象を、プラグマティックに受け入れて、地質学が発達していないなりにも各々のエピステーメーに基づいた最大限の知識を総動員して、地震を認識し、解釈し、語り伝えるという努力をしてきたわけだな
それに対して、リスボン大地震におけるカトリック教会の狼狽は、知識に対する暴虐であったと言わざるを得ない
当時のオプティミストらは、「創造主が善意から創造したこの世界に悪が存在するわけがない」と、必死に詭弁を弄して地震を「正しいもの」ならしめ正当化しようとしたし、
当時のプロイセン科学アカデミーは、地震をテオファニーたると位置付け、リスボンは神が主役を演じる舞台なのだと標榜した
後にミシェル・フーコーは「知は権力が生産するものなり」と言ったが、まさにリスボン地震は、宗教の傲慢を浮き彫りにした出来事だったといえるだろうね。