「あ、あの」
「なあに?」
「どうしてもこれ、言わないといけないんでしょうか…」
「…そう。あの人はそう言ってもらわないとダメなの」
「でも、ドンはあんなに」
「そう。立派なの。立派で頼り甲斐があってあんなに素敵なのはみんなの前だけ。」
「みんなの…」
「みんなのドンがアタシの前でだけは」

くぐもった銃声が6発。ガタガタと何かを運び出す音と男達の低い声。
「ドンは口の軽いヤツが嫌いだ」
唯一聞き取れた声を最後にテープは終了していた。