毎年、中国から日本にたくさんの観光客がやってくる。彼らに日本の感想を尋ねれば、
「日本はすごい」「日本がうらやましい」等と口々に賞賛するだろう。
しかし、経済が急成長している現在の中国人の目から見て、
本当に「すごい」と思っているのだろうか。

中国在住17年目の筆者があえて本音を聞いてみると、辛辣で意外な感想が次々と出てくるのである。

「あまり豊かじゃないけど、日本て、いい国よね」――。

北京の友人宅のパーティーで、中国人たちが何度も行った日本旅行の感想を話していた。
話に夢中で(日本人の)私が横で聞いているとは思っていない。
私にはいつも絶対、日本のいいところしか言わない。

(あまり豊かな国じゃない、か……)

あらためて聞くと、やっぱり、ちょっとショックだった。

私は中国在住でよく知らなかったのだが、現在日本には、外国人による
「日本のココがすごい」という言説があふれている、らしい。

つい先日も、中国から国際電話で日本のラジオに出演したら、そのパーソナリティの60代の男性から、
「中国人って、皆、日本に憧れているんじゃないんですか?」と言われて思わず絶句した。

「いや、安全とは思ってますが……」

たくさんある「ニッポン・スゲー」本が招いた誤解だろうか。
あれは、爺さん向けの紙のキャバクラで、そりゃ1500円分、ヨイショはしてくれるが、
北京に住んで17年の私からすれば、中国の人口は13億、
「それは確かにそういう人も中にはいますが……」というお話である。

日本の皆さん、今、とても心が弱っていて、外国人のお得意の“社交辞令”を真に受けすぎである。