自衛隊が空母を運用する際の最も妥当な姿を想定すれば、従前整備してきた護衛隊群の機能を完全に満足するというのが大前提となる(部分的にも減退はあってはならない)

まず空母によってのみ得られる空母の価値というのは、掘り下げていけば上空にセンサーを滞空しうる唯一のプラットフォームであるという点に尽きる
70年代ならともかく、現代においては火力投射の手段は必ずしも空母でなくとも良い
つまり政治的困難さを乗り越えてまで空母保有を実現するとすれば、空母の唯一の価値を実現し、尚且つ他に替えがきかない場合に限られる

上記2点を踏まえれば、我が国が運用する(当面十数年間の)空母像は
1.対水上及び対空警戒監視機能の拡充を主目的とする
 →滞空時間の長い固定翼AEWを運用可能な設備を有する
2.「空母型」護衛艦を1つに絞るならば、DDHの持つ対潜機材の運用能力、対潜戦闘指揮能力も備える
 →固定翼航空機に加えて対潜哨戒ヘリコプター等の運用が可能な設備を備える
となり、艦体規模は軽空母クラスではまったく不足する

更に発展させれば、航空管制機能の集約と合わせ、現状でイージスシステム搭載艦が担う対空戦闘指揮機能も空母に一元化し、護衛隊群の中枢とする構想も成立する
また、従前主張するように火力投射の手段に関しては大部分は航空機の仕事でなくとも実現し得るから、従って艦載機部隊の規模はその分小さくて済み、ここが米海軍空母と決定的に異なる
離島防衛から更に先、敵地攻撃となれば、その際には米海軍と連携の上で、米空母艦体を海自護衛隊群が防護することで米空母の火力投射能力を理論値近くまで最大化することで、海自が
独自に航空攻撃能力を保有した場合よりも大きな戦術効果を(間接的にではあるが)実現し得る