IGCCの、「日本にとっての」メリットは、「低品位炭・低灰融点炭」が使えるということです。
石炭というのは産地によって性状がかなり違い、これまで我が国の「超超臨界圧微粉炭石炭発電所」を支えてきたのは、
九州や北海道、あるいはオーストラリアの、灰融点1400度を超えるような、優良な「瀝青炭」でした。
高効率=高燃焼温度なのですが、余り温度が上がると灰が溶けて、炉内にこびりつき熱伝導を止めるばかりか、
こびりついた灰が固まって落下して路を破壊する「スラッギング」という問題が出てきてしまいます。
このため良い石炭の確保が必須なのですが、世界経済の伸びによって電力需要が伸びると、
発電所建設が進み、たとえば中国では、オール国産の超超臨界圧二段再熱プラントが着手され、
この種の優良炭の調達が競争状態になり、燃料調達そのものがだんだん困難になってきています。
燃料調達の点から見ると、低灰融点(〜1250度)の石炭をつかったうえで、高効率を実現できる
IGCCは魅力的な選択肢になる訳です。低灰融点炭の代表は、アメリカPRB炭やインドネシア炭です。

ドイツの褐炭もこの仲間になるのですが、こちらの場合はIGCC導入に余りインセンティブが働きません。
なによりドイツで石炭火力に求められているのは、再エネの補完ですから、設備コスト低下の方が優先されるからです。
しかも出力調整範囲が狭い上に、低出力域で効率低下が著しく、
さらに大型石炭機の求め羅得る電力系統維持を考えた場合、力率変更による送電線の安定維持能力が下がる
IGCCはますますもって要らない物になってしまいますね。