死は最も恐るべきものとされているが、実は我々にとって何でもないものなのだ
なぜなら、我々が存在する限り、死は現に存せず、死が現に存するときには既に我々はいないのだから

…と語った哲学者がいたっけ。
俺たちは一歩一歩死に向かって前進しているけれど、だからこそ生というものの有限性と不確実性を認識することができる。
いつか将来、歴史の闇に埋められて忘却される存在だからこそ、善と悪を理解し、取り組むことができる。
生というものと向き合って、日がな一日考える。
死を怯えるということ。死のプロセスを恐れるということ。未来の不在に脅えるということ。
この与えられた猶予期間で、何を作るべきか。何を残すべきか。そして何を語り伝えるべきか。
まだ生まれぬ者や、死者には与えられぬ特権。
この世に生を受けたからこそ持ち得た権利を、俺たちは行使しなければならないんだ
過去を振り返り、未来を臨むということの価値を噛みしめるために。