これに対して欧州では、メーカーと検査を担当する業者の癒着が指摘されるなど、きわめてルーズなのだ。
環境団体によると、検査業者はメーカーが求める燃費性能をなんとか実現しようと、あの手この手を尽くす。

 たとえば、ドア周りの隙間をテープで塞ぐ。タイヤの空気圧を高める。
実際にはあり得ないほど滑らかな路面を使ってテストを行う。抵抗を減らすためにブレーキ、またサイドミラーを取り外す――などは、彼らの常套手段である。

 さらに、「サイクル・ビーティング(cycle beating)」といって、燃費テストが行われている状況を感知して、より優れた数値を出すよう設定する、いわば今回のVWの不正とほぼ同じことが、どうやら当然のごとく日常的に行われていたようなのだ。
欧州運輸・環境連盟(T&E)は、「欧州でもっとも燃費性能をごまかしているのは、メルセデス・ベンツだった」という内容のレポートまで発表しているほどだ。