>>680

●構造問題
次に経済に悪影響をおよぼしかねない構造問題である。
韓国の構造問題として取り上げられるものが家計負債である。
7-9月期の家計信用残高は1419兆ウォンである。
これはGDPの87%に相当し、先進国のなかでも経済に対する家計負債の規模は大きい。
ただし、銀行の家計向け貸出の延滞率は0.3%と低く、貸出の多くは住宅担保でカバーされている。
金利上昇など延滞率が高まるリスクはあるが、構造改革を通じて金融機関の健全性が高まっている点、
断続的に続けられてきた地価抑制策により不動産バブルが形成されていない点から見ても、
家計負債問題が顕在化して金融危機に陥る可能性はきわめて小さい。

ほかの経済構造もみてみよう。
1997年に通貨危機を引き起こす遠因ともなった企業の過剰負債問題や金融の不良債権問題はおおむね解決している。
また経常収支の黒字も続いており、赤字体質であった通貨危機以前の状況から脱している。
さらに、もともと財政は健全であり、国家債務の対GDP比は16年で38.3%と、OECD加盟国のなかでもここまで数値が低い国は少ない。