産経WEST 2018.1.10 06:30
http://www.sankei.com/west/news/180110/wst1801100002-n1.html
間近に見ることができるゼロ戦。
当時の最高の技術水準がわかるが、展示にあたっては「戦争美化につながる」と反対の声もあった=愛知県豊山町のあいち航空ミュージアム
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 国産初のジェット旅客機「MRJ(三菱リージョナルジェット)」の開発をきっかけに航空産業の発展を期して愛知県が昨年11月、豊山町にオープンした航空博物館「あいち航空ミュージアム」に、第二次大戦時の戦闘機「ゼロ戦」の復元機が展示された。
展示に際しては「戦争賛美につながる」

 濃い緑の機体に先端の黒いエンジンフードがついた外観、高速を実現させるために引き込み式にした車輪、当時の戦闘機では最強の武装だった20ミリ機関砲…。
展示された機体は南太平洋を飛び回った往時の姿を彷彿(ほうふつ)とさせ、つぶさに観察する来館者や、立ち止まって瞑目(めいもく)するお年寄りの姿も。

 ミクロネシア連邦ヤップ島で昭和58(1983)年に見つかったゼロ戦の残骸の部品を使うなどして約2年かけて復元し、
三菱重工名古屋航空宇宙システム製作所史料室に保存していた機体を借り受け展示した。


 今回は暫定公開とはいえ、「生まれ故郷」での初めての展示となった。展示は多くの戦闘機マニアも引きつけ、大阪市の30歳代の男性会社員は「ぜひ、見たかったので会社を休んできた」と話していた。

公開に議論沸騰

 しかし、ゼロ戦の展示は順調に進んだわけではなかった。博物館の計画は平成27年5月に県が発表。
館内の完成予想図のイメージパースに展示機としてゼロ戦が描かれたことで、県議会では一部議員から「多くの若者が命を落としたゼロ戦の展示は戦争美化につながる」と反対の声が上がった。

 地元の前豊山町長も「若い子にそういうものを見せて、興味を持たせたくない。戦争反対です」と抵抗感をあらわにし、ゼロ戦展示は議論の焦点となった。