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(続き)
 ところが計画の多くは絵に描いた餅となる恐れが漂う。鳴り物入りの高速鉄道は16年1月に盛大な起工式を催したものの、
2年たっても一部で整地作業が細々と続くだけ。中国側は「土地収用が終わらなければ資金は出せない」と言い張り、事業は立ち往生している。

 19年の開業は絶望的で、選挙までに完成させたいジョコ氏にとって大きな誤算。1月、ジョコ氏の指示でひっそりと計画の見直しが始まった。

 政権の公約であるインフラ開発で進んだのは、高速道路や地方の港湾など比較的地味な案件だけ。高速鉄道のような目玉となるインフラ開発は
遅れている。選挙前になんとか完成しそうな大型案件は日本が円借款で支援するパティンバン港とMRTにほぼ絞られた。

 中国の広域経済圏構想「一帯一路」に協力して開発を進める計画はいったん暗礁に乗り上げた。国内では南シナ海問題などが重荷となって
対中感情はよいとはいえず、中国との協力拡大を公言しにくい空気も流れる。「中国は投資の約束はするがなかなか実現しない。
日本は計画を立てるのは遅いが確実に実現させる」(政権幹部)。政権内には日本に頼るしかないという機運が広がる。

 ジョコ氏は17年12月の日本経済新聞のインタビューで「首脳の中で一番親しいのは安倍晋三首相」と話した。17年にインフラを担当する閣僚の訪日は
16回に上った。パナソニックの現地合弁の経営者一族で、日本と関係の深いゴーベル元貿易相を日本担当特使に任命し関係を深めた。
両国はジャワ島横断鉄道など大型計画の詰めも急ぐ。

 ジョコ氏は祝辞に「赤い糸はもつれたり、絡まったりしてきたが、切れることはなかった」と記した。日本にとってもインドネシアは経済や安全保障で
重要なパートナー。15年度末まで累計4.8兆円の円借款を供与し、その発展を支えてきた。目先の選挙対策にとどまらず、絡まった赤い糸をほぐし、
長い目で太く育てる両国の取り組みが改めて問われている。

(ジャカルタ=鈴木淳)
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>ジョコ氏は17年12月の日本経済新聞のインタビューで「首脳の中で一番親しいのは安倍晋三首相」と話した。

世界中の首脳から親しまれる魔人アベ、恐るべし!