>>9
その昔、某県運転免許試験場での話。

限定解除の試験に、何度も何度も落ちても挑戦し続けるおっちゃんがいて、おれ、話を聞くと、
「昔からハーレーダビッドソンに乗るのが夢で、でも、暮らしのために働き続けて、夢は夢で叶える余裕なんかなかったんです。
でも、おかげさまで何とか暮らしも落ち着いて、ハーレー買うだけの貯金もできました。
中型二輪で練習したつもりです、あとは免許だけなんです・・・」

初老というべきトシのおっちゃんだったけど、おれをはじめ、事情を知ってる限定解除「受験生」連中、
おっちゃんの実技試験が始まると、受験生軍団、自分のことはそっちのけで、
「おっちゃん、がんばれ!」「おっちゃん、今度だ!」のエールを送りまくり。
「よし、8の字はクリアだ」「一本橋も10秒いったぞ」
「今日こそいけるんじゃないか?最後の難関は急制動だ・・・止まったあ!」

試験官「受験番号xxさん、いまひとつですが、もうそのお年で暴走行為もないでしょうし・・・合格です」

おっちゃん、やったなあ!よかったなあ!の、
落ちたひとも含めての受験者一同の声援に送られるおっちゃん。

「限定解除」の免許を受け取ったあとは、きっと、
ハーレーダビッドソンの納車を待つ間、子供のようにわくわくしながらヘルメットもウェアも整えて、
納車の日、もっと子供のような、というか、心に羽が生えたような気持ちでセルボタンを押したと思う。

身体の条件はナニかとあるかもわからんけど、
たとえトシでも夢を叶えるためにがんばったガッツマンを、おれは見たことあるんだ・・・。