空母の着艦は、洋上から点にしか見えない甲板を目指し、
失速寸前まで速度を落とすために仰角を取るので下が全く見えない状態で
わずか数十メートルの間のたった3本のロープのいずれかに、時速250キロ以上で正確にフックを引っ掛けるという
もう神業的な技量が必要。
晴天時ならまだしも、悪天候や夜間ともなると更に難しい。
実際に着艦時の事故で多くのパイロットが犠牲になっている。
中国の空母も、まだ訓練段階なのにすでに数名が亡くなった。

F-35Bのメリットは、空母最大の障壁であるその着艦を容易にしたことだ。
ほんの数ノットでホバリングしながら甲板に接近し、フライバイワイヤーのオートマ感覚でゆっくり降りる。
パイロットの危険度と機体損失のリスクは大幅に軽減した。

通常機のように、着艦技術の育成と、その維持のため、日中、夜間、悪天候と常時訓練する必要も減り
パイロットの生命、機体の損失、そして訓練コストは大きく削減される。

F-35Bの最大のメリットはそこにあると言っても過言ではない。
それは、ペイロードや航続距離を犠牲にしても余りあるものである。