二式陸攻

旧日本海軍の陸上攻撃機、一式陸攻の簡易型。弾幕と高速力で敵の迎撃を無効化する「戦闘機不要論」にのっとって設計された一式陸攻であったが、
ヨーロッパ戦線における英軍機、デ・ハビランド・モスキートの活躍をうけ、同様の機体として設計されたのが二式陸攻である。

モデルとなったモスキートと同じく機体のほとんどが木材でつくらている。どのみち一式陸攻の時点でワンショット・ライターと揶揄されるほどの耐弾性
能だったので、多少耐弾性能を落とすのを容認しても資源の節約と軽量化にともなう高速性の獲得は大いに歓迎された
また、国内の宮大工を攻撃機の生産に振り向けることができたことも大いに評価されている反面、伝統工芸の粋を尽くして製造されたためコストそのも
のはむしろ高くつき、製造時間も原型機の3倍から5倍以上かかったうえ、有効な接着剤を開発できなかったため宮大工の接ぎ木技術と既存の接着剤
の併用でお茶を濁さなければならなかった

しかしながらただでさえ脆い機体の設計をそのまま木製にした結果、多少の高速性は獲得したものの脆弱性も多く抱え込むことになった。
今までは耐えられた7ミリ級曳光弾が掠っただけで木製ボディが炎上する、敵の攻撃を避けるために回避機動をとったら高Gに耐えきれず空中分解
する、高速をだすとエンジンの排熱を処理しきれず機体が燃えてしまう、防腐処理が完全ではなかったため南方の基地に置いておいたら3日とたたず
に腐ってしまう、といった様々な原因のため、製造された二式陸攻のほとんどが終戦まで生き残ることはなかった

シルエットはまるっきり一式陸攻と同じだったので米軍には最後まで一式と二式の区別はつかなかった。そのため一式陸攻が「ワンショットライター」
と揶揄されるようになった原因は多様なりとも防御力のあった一式ではなく、木材で製造された二式にあったとされる。米軍の記録に散見される
「撃たれ強い一式陸攻」は本来の設計どおり金属で製造された機体であると思われる

なお海軍は書類上は一式陸攻を作っていることにして余計に資源の割り当てを受けていたため、当時の書類をみても二式陸上攻撃機という記述は
ない