宿泊していた南山区のホテルの裏手に、小さな繁華街があったので、夜中に一人でブラブラしてみた。
その一角に、オシャレな四川料理屋があったので、入ってみた。

注文したのは、夜食にと思った1杯の担々麺。12元(約200円)だった。
「本場四川の味!」と銘打っている割に、お世辞にも美味いとは言えない代物である。
それは別に構わないのだが、問題は支払時だった。
定員の女の子に、「計算して」と行ったら、彼女は無言で、顎をしゃくり上げた。
私が食べている机上の顎の方向を見ろという意味だ。
そこで机の端を見ると、WeChat Payの読み取りマークが、机に貼りつけてあった。

「私は外国人旅行者なので、現金で払う」
そう言ったら、彼女は口をあんぐり開けて、「えっ?」と聞き返した。
再び同じことを言ったら、困った顔をして、「ちょっと待ってて」と言って、店の奥へ消えた。そして戻ってくると、私に告げた。

「どうしても現金で払うというなら、おつりが出ないようにしてちょうだい」
幸い財布の中に、10元札と1元札が2枚あったので、そのまま机に置いて店を出た。
だが、仮に100元札しか持っていなかったとしたら、私は無銭飲食で捕まってしまうのだろうか?

この話には、続きがある。ミネラル・ウォーターを買ってホテルに戻ろうと、四川料理屋の向かいにある中国系のコンビニに入った。
コンビニなのに、店内が薄暗く、なんとなく柄が悪そうな二人の女性店員がいた。

そこで、4.8元のミネラル・ウォーターを買うのに10元札を出したら、また嫌な顔をされて、「スマホ決済にしてくれ」と言ってきた。

「私は外国人旅行者なので、現金しか持っていない」
もう何度目になるか知れないセリフを吐いたら、
「それならちょっと待て」と言って、使っていない奥のレジのカギを開け、お釣りを投げてきた。
略)
いまや中国の都市部では、スマホ決済は、すでに常識と化している。
WeChat Payを使っている人が約8億4000万人、Alipayを使っている人が約5億2000万人いる。
合わせて13億6000万人!
重複している人もかなりいるものの、累計では、ほぼ中国の全人口に達するのだ。
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/54536?page=2