また変なツイッター叩きが暴れているので小ネタでも投下

前スレの最後で日本の必要船腹量が1500万トンとあるけれども、これは注意してみないといけない点がある。
というのも、この所要の船腹量がドコからドコまでの海域であるのか、といった視点というか海運市場の地理的範囲の話。

当時の海運業界紙などを散見すると、上記の1500万トンだ、いや1000万トンだ、大きく吹いて2000万トン必要だという話は、
乱暴に言えば二次大戦が勃発し欧米系船社の船舶が東アジア市場から転用され、日本自力での「大東亜共栄圏」の発想が見え始めてから急に出てきた話である。
地理的に言い換えると、
・1000万トン論だと、蘭印会商成立したイメージでの蘭印・仏印地域と日満支を繋ぐ海域と各種軍需(陸軍のマニラ占領部隊への補給程度まで)
・1500万トン論だと、対英米戦を視野に入れての比島・豪北・内外南洋の域内輸送と軍需輸送、海軍の大規模徴用
・2000万トン論だと、上記に大東亜共栄圏的にインド洋東半・ベンガル湾までの商業・民需輸送を視野に入れたもの
といった前提条件の差であったりする。

逆に、600万トンでなんとかなる論というのは、視点が二次大戦前におけばおかしくない話である。
というのは、勃発前の昭和12〜15年頃の統計だと、台湾以北の海域、日・満・支の交通量+比島や仏印への一部の連絡航路の稼動船舶量を
トータルで350万トンくらいと見込んでおり、ここには米英仏の極東航路の就航船等も含まれての話である。
そこに一次大戦での経験などから、欧州航路・北米航路の遊休船舶の半数を特設艦船や陸軍の需要に充てても、
残り半数で日本近海から撤収した欧米船社の穴埋め分は何とかなるだろうといった「考え方」
(検討結果ではないので、念の為)であり、これまでの現実的な国防方針とも大きく逸脱していない考え方である。