森友学園との国有地取引をめぐり、財務省の決裁文書の内容が書き換えられた疑いが出ていることについて、
同省が参院予算委員会の理事会に調査状況を報告した。

驚いたのは、疑惑を本紙が報じてから5日がたつのに、問題の文書の有無すら明らかにしなかったことだ。
そればかりか、これから調査を始めるかのような全くの「ゼロ回答」である。

財務省の調査が、売却問題を調べている大阪地検の捜査に影響を与えないよう、慎重に対応する必要がある。
同省幹部はそう繰り返した。

筋の通らぬ言い分である。

書き換えられた疑いのある文書は、与野党が合意して財務省に提出を求めたものだ。
これが書き換えられていたとすれば、憲法に基づく国政調査権を軽んじ、国会を愚弄(ぐろう)する行為だと言わざるを得ない。

国有地売却が適正に行われたか否か。森友問題の核心部分の検証も不可能になる。
この問題をめぐる、1年余の国会審議が意味を失うことにもなる。

仮に文書が手元になければ、地検に還付を求めることもできる。
そうした努力もせずに「捜査への影響」をことさら強調するのは、調査の先送りを図っているとみられても仕方がない。