「いずも」改修 離島防衛の強化につなげよ : 社説 : 読売新聞(YOMIURI ONLINE) :
http://sp.yomiuri.co.jp/editorial/20180430-OYT1T50114.html
 南西諸島の防衛体制を戦略的に強化していく必要がある。
日米同盟の実効性を高める観点から、自衛隊の装備を中長期的に拡充すべきだ。

 政府が海上自衛隊最大の護衛艦「いずも」について、戦闘機の離着艦を可能にする改修を検討している。
2020年代初頭の実現を目指し、今年末にまとめる新たな防衛大綱に明記する方針だ。

 沖縄周辺の離島などが攻撃を受けた時、米軍機が着艦し、海自が燃料を補給することを想定している。
いずもの甲板などを改造し、短距離滑走での離着陸が可能な米軍の最新鋭戦闘機F35Bを運用できるようにするという。

 効果的な離島防衛の実現に向け、着実に進めたい。

 防衛省は既に造船会社に調査を依頼し、米軍機の搭載に向けた整備は可能だ、との報告を受けた。
将来的に、航空自衛隊によるF35Bの運用も視野に入れている。

 中国は初の空母「遼寧」に続き、国産空母も建造した。海洋強国を目指した軍の増強が急ピッチで進む。沖縄・尖閣諸島周辺では、中国軍艦船や公船が挑発的行動を繰り返している。

 中国軍機に対する自衛隊機の緊急発進は17年度、500回を数える。
こうした脅威に的確に対処することが求められている。

 米軍の攻撃力を補完するいずもの機能強化は、安全保障関連法で可能となった自衛隊と米軍の一体運用を具体化するものだ。

 有事の前の段階から、日米が切れ目なく協力できる態勢を整えることが大切だ。
様々な事態を想定し、日米間で指揮命令系統のあり方や部隊の運用などを精緻せいちに詰めていく作業も重要となる。

 南西諸島には、空自が使える滑走路は那覇基地しかない。
母艦があれば有事への即応性が高まるだけでなく、災害救援の拠点として活用することも期待できよう。

 これまでの政府の見解との整合性も取らねばなるまい。