米軍が航空機用20ミリ機銃として量産しようとしたイスパノスイザHS404だが、
英軍も同じ機銃を元にイスパノMkI・MkIIをライセンス生産して、主力20ミリ機銃にしている。
アメリカ版はAN-M1・M2だが、双方独自にミリからインチに単位換算してライセンス生産したため、
単位の丸め方の違いで同じ銃のライセンス生産なのに微妙に寸法が違い、部品によっては
互換性が無かったりする。
さらにアメリカ製のは薬室長を2ミリ短く改設計した結果故障頻発で、英軍のイスパノMkIIが
主力20ミリ機銃になったのに対し、米軍のは信頼性に乏しく、一部の戦闘機に搭載されただけで
米軍は二次大戦の最後まで12.7ミリを主力に戦う事になる。

そして戦後もその問題を放置した結果、12.7ミリ装備のF-86が
朝鮮戦争でミグ15の37ミリと23ミリに盛大に撃ち負ける事になってしまう。
電子装備の優位性などでキルレシオ的には優位に立ったものの、この問題を重く見た米軍は
戦闘機から機関銃を降ろすという斜め上の解決策に走る。ミサイル万能論時代の始まりである。

結果としてミサイル万能時代は到来せず、ベトナム戦争時になっても米軍では軍内で
三種の20ミリ機銃が混用されるという混迷が続いていた。