>>226
アメリカの第二次大戦中の文書をワシントンの国立公文書館で見ていて、私はびっくりした。沖縄戦に関しては、アメリカ側が敗者意識を持っているのである。
実質的な敗戦である、と言うのがワシントンの受け止め方であった。つまり、4月中に作戦完了予定の沖縄戦が5月に入り、5月中には片づかず6月にずれ込む。
そして6月も下旬の23日になって、ようやく片づいた。三倍の期間をかけたこの戦いは実質的には敗北である、というのがアメリカ側の受け止め方である。
硫黄島、沖縄はアメリカ軍部にとって失敗した作戦、もしくは苦すぎる勝利である、と言うのがアメリカ軍部の実感であった。

五百籏頭真(著)『日米戦争と戦後日本』講談社学術文庫