石油大国転落・ベネズエラ経済危機 /上 
原油頼み、繁栄続かず 価格下落で「国が破綻」 国営会社大量解雇「頭脳」失い (毎日 6/18)

南米ベネズエラの中部を東西に流れるオリノコ川の北岸流域に原油産地「オリノコベルト」が広がる。高さ約20mの石油掘削装置「リグ」が
点在するが、多くは稼働していない。 オリノコベルトは2000年頃ベネズエラの主力原油産地になった。 しかし今、繁栄の面影はない。

「数年前から資金不足で多くのリグが停止した。 仕事もあまりない。警備するためだけに作業員が張り付いているリグもある」。
オリノコベルトのフニン地区でリグのメンテナンスに携わる国営石油会社PDVSA職員、ヘラルド・ディアスさん(36)が話した。

地元メディアなどによると、オリノコベルトを含め全国で100基以上あったリグのうち、稼働しているのは35基だけだ。
かつて日量300万バレルを超えたベネズエラの原油生産量は17年に191万バレルに減少した。
今年1〜3月は約30年ぶりの低水準となる154万バレルに激減、年末には100万バレルを下回るとの予測もある。

1999年に就任したチャベス大統領(13年死去)は「21世紀の社会主義」「ボリバル革命」を掲げた。
革命実現のためPDVSAに対し国庫への拠出を増やすよう求め、経営の独立性を保ってきた同社と衝突した。
02年12月にはPDVSAを中心とするゼネラルストライキに発展した。

当時、PDVSA職員だったメトロポリタナ大の経済評論家、ネルソン・エルナンデス氏(72)は
「能力主義やプロ意識といった価値を守るため」とストに参加した。 だが、約2カ月に及んだストは失敗。
チャベス政権はストに参加した職員約2万人を解雇した。 全職員の半数におよび、経営経験が豊富な幹部や専門技術を持った職員が去った。
「PDVSAの『頭脳』を失い、今の原油生産危機につながった」とエルナンデス氏は指摘する。
(続く)