>>855の続き
第二に反企業・親庶民政策のパラドックスである。
労組を支持基盤としていた民主党政権は、雇用と家計所得の源泉は企業だというのに、起業家精神という経済原則を嘲笑したのだ。
民主党政権下で輸出する大企業は円高によって競争力を喪失し、瀕死の状態に陥った。
しかし「親庶民」民主党政府は、円高によって輸入物価が下がるので、庶民の家計には役立つという幻想に陥っていた。
内需70%の日本といえども、輸出企業の業績悪化は庶民経済まで凍りつかせた。

第三に民主党が掲げた脱官僚主義である。
これが政府の行政の無力化をもたらした。
国民の立場を代弁する政治家が政策を主導するといって、行政を総括する次官級会議を廃止した。
背を向けた官僚は、副作用が多い民主党の理念型の政策を傍観するしかなくなって、民主党政府は無能政府になった。
官僚というのは理念型の政策を現実と融合させる技術を持っている集団である。
技術者が背中を向ければ機械は動かなくなる。

2009年に韓国の野党議員は、日本の民主党の圧勝に興奮し、公約をベンチマークする必要があると言った。
現政府の政策は、日本の民主党政府と同じような側面がある。
雇用政府を自任してきたが、最悪の失業率を記録するなど成果は出ていない。
韓国経済の牽引車の役割をしなければならない大企業は、検察、国税庁、公正取引委員会の全方位的な圧迫によって萎縮している。
積弊に追い込まれた官僚組織は地べたに伏して動かない。
労働時間の短縮など、副作用が明らかにある政策も、現実と融合させて補完する対策もなしで溢れているのがその証拠である。
(続く)