豊田有恒氏「ヤマトの真実」の出渕の部分

「出渕が、さるデザイン事務所に出入りして、メカデザイナーを志していることは聞いていたが、
 わが家に遊びにくるSFファンの一人としか思わなかったから、これほどの才能とは想像もつかなかった。
 さっそく西崎のところへ出渕を連れていく。絵を描かせてみれば、才能は一目瞭然である。さっそくにも仕事を任された。
 一話だけしか登場しない<やられメカ>だが、一話ごとに異なるメカが必要になるから、すっかり重宝されるようになる。」
「今や、アニメ界の重鎮として知らぬ者はいない出渕裕だが、本格的なキャリアはヤマトから始まった。
 (中略)その出渕が、2012年のリメーク版ヤマトの総監督を務めているのも、なにかの因縁というものだろう。」
「出渕は、申し訳ないと、しきりに繰り返した。『宇宙戦艦ヤマト』のリメークながら、クレジットのどこにも、
 松本やぼくの名はない。出渕は、制作プロにも、掛け合ってくれたらしい。」
「出渕が、どうしても、松本零士に謝りたいというので、ぼくは、さる機会をとらえて、
 かつてのヤマト以来、数十年ぶりに、松本に出渕を引き合わせた。
 (中略)出渕も、気まずい部分を乗り越えて、同じクリエイターとして、先駆者である松本に、あらためて挨拶し、
 仁義を切ろうと覚悟していたらしい。」
「松本は、三十数年前に、メカデザイナーとして手伝ってくれた出渕を覚えていた。
 出渕が、新作の総監督を担当することになり、なんとか松本やぼくのクレジットを入れるよう、
 制作プロに働きかけたものの、及ばなかったことなど、事情を説明した。
 『わかった。やるからには、頑張って、よい作品を作りなさい』
 松本は、出渕の説明を聞いて、意外にも励ましの言葉を口にした。」

よく言われている松本がスタッフロールに「載せてくれるな」と言ってたというのは真実ではなく
出渕が努力しても西崎の養子が拒否るんならしょうがねーな程度の話だった模様