続き
穴だらけになって帰ってくるというのは逆に言えば、それだけヨーロッパの航空機の防御力は高かったということ
つまり戦闘機の最も被弾確率が高い翼に燃料を詰めるのは、第一次大戦からの教訓もあってヨーロッパではあまりにも非人道的なことと認識されていた
翻って日本のゼロ戦の翼には翼内タンクが装備されており、これに一切の防弾処理も消火装置の設置もしていなかった
言うなれば、ゼロ戦はガソリンを充満させた空飛ぶポリタンク
流れ弾が一発でも翼に命中したならば、即火達磨になって空中分解する殺人飛行機
パイロットを保護するための背面鋼板などの装甲も、ゼロ戦には一切装備されていなかった
7.7mmのような小口径弾であっても、当たればパイロットは負傷してしまい、当たり所が悪ければ死んでしまう
この背面鋼板の設置は各国とも戦争が始まるやいなや、すぐに行っているのに対して日本海軍は大戦末期、44年まで設置を見送ったのは、日本陸軍ですら42年ごろに取り付けているのに対しても常軌を逸しているといわざるを得ない